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気学では

気学では、どんな人でも生涯に三度、幸運に恵まれる時があるという。
それでも、ノーベル賞が取れるほどの運を持ち合わせている人は、
そんなに多くない。
フランスの物理学者アンリ?ベクレルは、そのノーベル賞受賞者だが、
彼の発見は、偶然がもたらした「運」だと言われている。
(最近よく耳にする、放射能の量を表す単位の ”ベクレル” は、
放射線の発見者である彼にに因(ちな)むもの。)
ベクレルは、ウラン塩と太陽光を使った実験をするべく待っていたが、
予定していた1週間、一日たりとも晴れ間が出なかった。
そのため、思っていた実験ができなかった。
1日でも晴れれば可能だったが、不運な男というものは、そういうもの。
ところが、
ウラン塩とともに黒い封筒に入れて机に引き出しに入れていた写真乾板が
太陽光線を受けていないにも拘らず感光しているのに気づいた。
すなわち、そこでウラン塩が発している放射線を発見することになった。
太陽が顔を出さないことが不運と思われたが、
それが大発見につながり、結果的にノーベル賞受賞者となる。
運というものは、どのように作用するかわからない。
運と言えば、
20世紀初頭のアメリカでは、テキサスで油田が発見され、
それもちょっとした運で、掘り当てて巨万の富を得た人物もいる。
歴史に名高い、ビッグフォーと呼ばれる石油長者を生んだりもした。
そのうちの一人の言葉に、
「頭脳明晰っていうことだけで、まともに食って行けてるのは、少数派だな。
頭がいいより、ツイてる方が、いいに決まってるさ」
そう言った彼は、貧しい一介の労働者から、瞬く間に大金持ちに変身した。
「銀貨のジム」とも呼ばれ、1ドル銀貨を常に携行し、
ドアマンや貧乏人など彼を待っている人に何時でも気安く銀貨を投げ与えたという。
物理学者のベクレルは、曇天続きで実験ができないという不運を呪うところだが、
それがかえって幸運をつかむことになる。
不運と思われるものの中に幸運があるとすれば、
どんな人でも生涯に三度ぐらいは、幸運に恵まれる時が、たしかにありそうだ。
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