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ほっといて!

数年前、家の近くの住宅街の真ん中に、
学校の体育館より大きな四階建ての建物が忽然と現れ、
それは閑静な住宅街にはいかにも不釣り合いに見えた。
フィットネスジムとわかったが、自分には縁がないものとずっと思っていた。Information Security
ある日、お散歩のついでに何気なくフラリと立ち寄り、
館内を見学させてもらった。
プールで泳いでいる人を見た瞬間、すぐに入会したいと思ったのは、
泳げるようになりたいと、ずっと願っていたせいである。
残念なことに、水泳の初心者のレッスンは木曜日の30分に限られていた。
しかし、プールの他にマシンのすべてや他の豊富なプログラムが
毎日でも受けられると聞き興味が募った。
心配の種がひとつあった。
わたしはふくよかになりたい願望があるのに、
フットネスは盛んにダイエットばかりを宣伝している。
マシントレーニングでエネルギーをフィットネスに献上してしまったら
ふくよかを望むのはより難しくなり、意味がないではないか。
さっそく担当者に質問した。
「使ったエネルギーを体は取り戻そうとしますから、筋肉は増えますが痩せることはありません」
なるほど・・・(さすがによくご存知ね)storage cabinets garage
マシン初心者は、マシンの使い方のレクチャーを受けることになっていた。
インストラクターはいずれも20代と思われる男女である。
とは言うものの、みなさんはとてもお若く見え
胸板ばかりが目立つ坊主頭の小柄な方は高校球児そのもの。
さらに女性インストラクターは今どきのマセた中学生か、女子高のサッカー選手みたいな雰囲気で、いずれもビジュアル的には幼い感じ。
人は見かけによらないものであるから、それはそれで納得したけれど、
納得できないのはマニュアル通りの掛け声とオクターブ高い、
つまり、甲高い声で絶えず話しかけてくることである。
それは入会前に館内見学を申し込んだ際にまず感じたことでもある。
「イラッシャイマセェー!」
受付にいた全員が頭のてっぺんから思い切り弾んだ声を一斉に発した。
わたしは一瞬、びくっと身を引き「ここはファミレス?」と錯覚した。
他のゲストが出入りする度にもそれらの挨拶の洗礼があるので
そのうるさいこと・・・ムクドリの集団みたい。
人の出入りは厳しくチエックされ、ゲストのマナーも同様。
掃除も行き届いて清潔、マシンやプログラムは充実、
ロッカールームやシャワー室は広くて使いやすく
さらに観光旅館のような岩風呂まで完備されている。
どれをとっても満足なのに、肝心のスタッフの雰囲気が気になる。
実際にトレーニングを始めると、それは悩みに変わった。
わたしは出来ることならヨガのように心身の鍛錬的なものに憧れていたので
たとえマシンのトレーニングでも吐く息、吸う息に集中し、
静かな瞑想スタイルで励みたいと願っていた。
事実、その通りに励んでいた。
その横たわっている頭の上から、いきなり金属音の声が落下してくる。
「えっせいさーん、ジョウズジャないですかぁ」
「えっせいさーん、すごくガンバッテますねー」crystal iphone case
もうダメ・・・
張り詰めていたものがプッツンして全身の力が抜けてしまう。
インストラクターのお仕事って、邪魔をすることなの?
なぜ力が抜け落ちてしまうのか?
それはひとえに彼らが発する不自然な声のトーン、モノの言い方にあるようだ。
マシンのフロアには5人のインストラクターがいて、あちこちフラフラしながら
目に付いたゲストのレッスン状況を矯正したり、要望があれば教えたりするが、
前日のトレーニングで、高校球児風の彼に閉口した。
彼は、マシンルームの入り口を入ろうとしたわたしの姿をすばやくとらえると、
肺活量を目いっぱいに使ったありったけの声量を投げつけてきた。
「えっせいさあーん、コンニチワー!」
まあ、挨拶ですから・・・
(でも、わたしだけに聞こえれば充分ではないの? 軍隊じゃあないんだから)
腹筋運動はマシンの上に横たわりタイツの足だけを空中に突き出し高く上げる、やや恥ずかしいスタイルを取らされるが、そのときのわたしの頭の上にも、
にゅーっと高校球児の顔が現れ、覗きこんで言う。
「えっせいさあーん、お尻がちゃんと上がっているじゃないですかぁ、
 すごい!」
力が抜けた・・・黙って見守っていて欲しい。
胸筋のマシンにトライ中に、またしても彼がひょっこり・・・
「オッ、かっこいい! イイデスヨ、その姿勢。もう大分筋肉ついたでしょう」
(まだ始めて4日目なのにつくワケないでしょう、マジックじゃあるまいし・・・マニュアル通りに言っているのがバレバレよ)
背筋のマシンに励んでいると背後からまた・・・
「イイデスネェ、背筋が良く締まっていますよ、すごいなぁ、その調子」
(お願い、もういい加減にほっといて!)
締めは20分の自転車漕ぎを終わってハアハア息切れをしているとき訪れた。
「えっせいさんはいつも夜しか来ないんですか?」
「ええ(ハアハア)、夜間会員ですから(ハアハア)」
「夜遅くなって大変でしょう」
「いえ(ハアハア)、家まで5分とかかりませんから(ハアハア)」
「じゃあ、大雨でも降らない限り毎日これますね、ハハハ」
「・・・(ハアハア・・・降っても来るかも!)」
他の高校娘風のインストラクターもトレーニング中に
代わる代わる頭のてっぺんから発する声をポンポン投げかけてくる。
「えっせいさあーん、その調子、とってもイイデスヨォー」
もう彼らは完璧に騒音公害である。
しかし彼らも一生懸命マニュアル通りに仕事をこなしているのだから
悪気はないとわかっている。
それゆえにこのストレスをどこへ発散したらいいの?
ストレスはフィットネスジムで発散するといいと聞いていたはずだった。
だんなさまはわたしがフィットネスジムに通うと言い出したとき
「そのままの体型でいいんじゃないの。オンナの筋肉のつき過ぎはコワイよ」と
ちょっと否定的でしたが、わたしは筋肉をつけるのが目的ではなく、
憧れの水泳をマスターしたいだけ。
泳げるようになったら時間のある限りプールで泳いで、
健康や基礎体力の維持をした上で、究極はどこか南の島あたりの海で
イルカと泳ぐのが夢なのです。
今はまだ泳ぎをマスターできていないので、マシンはあくまでつなぎと思いつつ
ジムに足を運ぶたびに、どうかインストラクターに見つかりませんようにと
隅っこでチマチマとやるようにしているが、この調子ではいつまで続くか・・・
入会キャンペーンの特典がありその特典を受けるために
三か月間はやめないと誓約書を入れている。
その後、ちょうど三か月でフィットネスをやめました。
これでもお稽古ごとの最長記録を達成したので、それなりに満足しました。
河川敷のシマちゃん、ミケちゃんも
エクササイズに余念がありません。(200万画素のためお見苦しい)
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Tesco launches one-hour grocery deliveries in London, powered by Quiqup

The grocery delivery wars look set to get cooking… UK supermarket chain Tesco has announced the launch today of a one-hour delivery service in central London called Tesco Now — echoing Amazon’s Prime Now delivery branding.


This comes hot on the heels of the news that ecommerce giant Amazon is wading into the bricks-and-mortar grocery business, with its planned purchase of Whole Foods for $13.7BN.


As well as a one hour delivery service (priced at £7.99), Tesco is offering a two-hour option (for £5.99) via the new Tesco Now Android or iOS app.


The supermarket chain already offered a same day delivery service in London and the South East, and a same day ‘click and collect’ option.


The new faster delivery service only covers central London, aka zone one (see below for the full list of covered postcodes). Customers can pick up to 20 items from a selection of 1,000 products. Deliveries will be made by moped.


The delivery component of the service — including the picking of the items — is being taken care of by UK startup Quiqup, which last month raised a £20M Series B round to grow its “shop on your behalf” app and b2b business desktop storage.


Quiqup launched in September 2014 and has delivered over 550,000 orders at this point, with more than 2,000 self-employed couriers on its gig economy platform at this point.


Tesco, which is the UK’s largest supermarket chain, clearly represents a major customer win for the startup.


In a statement Quiqup co-founder and head of product, Tim Linssen, said: “We are proud to be partnering with Tesco to provide last-mile logistics and delivery services for Tesco Now. Time is precious for today’s consumer, and Tesco Now will help give Londoners more time for what they enjoy most.”


Tesco Now covers the following London postcode areas at launch: E1, E2, EC1, EC2, EC3, N1, N16, NW1, NW10, NW3, NW5, NW6, NW8, SE1, SE11, SW10, SW11, SW12, SW13, SW14, SW15, SW1, SW3, SW4, SW5, SW6, SW7, SW8, W1, W10, W11, W12, W14, W2, W7, W8, W9, WC1, WC2.


“As consumer expectations change, retailers of all sizes and across verticals will be expected to offer flexible, efficient and affordable delivery to their customers. Quiqup partners are able to do this quickly and easily by integrating our technology and infrastructure into their existing systems,” added Linssen.


The startup’s tech platform provides delivery estimates — viewable via the Tesco Now app, which also provides live updates and order tracking (again powered by Quiqup’s API) .


The startup has notably also previously partnered with Amazon acquisition target Whole Foods in London to be their sole online ordering option (Whole Foods has only a small store footprint in London). Quiqup also provides b2b services in non-food verticals such as independent florists and pharmacists.


Last month the startup told us that b2b deliveries make up about 45 per cent of its business. The Tesco Now deal could well ramp that up considerably, assuming its offering proves popular with Londoners .


Amazon launched its Prime Now one-hour delivery service in London back in 2015 — although that service was focused on products such as toiletries, rather than groceries hong thai travel.


It subsequently added the ability to order meals from London restaurants via a service called Amazon Restaurants via Prime Now.

いいバランスだ



さて、カウントダウンは、一昨日に残りゼロとなった。
今は、「残り1日」という数え方から、「開始1日」あるいは、「使った1日」という数え方に変更。
なので、今日は開始3日めだ。
 
あああ、懐かしくもなんともない、入力するには大嫌いなiPad。
こんなもので入力するのは、ほんとうに疲れる。
 
これには、いささか事情がありまして。。。
わたしは、いま、とある地球の反対側に籠っている。
なんの計画も予定も立てず、毎日、気分のままに時間を過す予定。
あれ?これ自体が予定になっている。
 
まあ、なんでもいい。
ひとり盛りあがり、究極の自分時間の中に身を置いている。
 
一昨日は、ワープに一日かかった。
昨日は、早朝から予定ぎっしりで、振り回された。
今日も少し予定がある。
明日からは、なんの予定もない。
やっと部屋に引き籠ることが出来る?
 
といいつつ、あれこれ外に出るための頭脳準備をしている。
引き籠りと、外出。
いいバランスだ。
 
 

昨日の夜




昨日の夜、少し喉が痛かった。

これは、猛暑が一転して一気に秋らしくなった気候に
喉が極端に弱いわたしの、季節の変わり目の持病みたいなもの。

喉の痛みと共に、鼻がつまり、熱も少し帯びてきて、
やっぱり風邪を引いちゃった、と、
ありがたくないフルコースをこれま何度も味わってきたが、
普通の人とは逆に、年を取ると共になぜか風邪を引きにくくなった。
(やっぱり、骨の髄までへそ曲がり?)

そのせいか、朝起きて食事の支度をするころには
すっかり元気になっていた。

その朝食のテーブルで、目の前に座っている人にふと視線が移った。

その人は、好物のキュウリのぬか漬けをぼりぼりかじり、
大口を開けては、炊きたての白米を豪快に放り込んでいる。

その様子を見て、はるか昔の出来事を思い出した。

15年ほど前のこと。

風邪を引いて40度近くの高熱で職場を休んだ。
それでも、夕方になると寝床から這いずり出て、夫のための食事の支度をした。
自分は食欲がまったくないから、夫だけの分を作った。

それが原因で、ますます具合が悪くなってさらに休み、
そのくせ、夕方にはまた這いずり出ては食事の支度の繰り返し。
こちらは飲ます食わずで死の淵をさ迷っていたけれど、
夫は用意してあるオメシを食べてしらんぷり・・・

4日目にうめきながら、とうとう言った。

「なにか食べないと死んじゃう!」
「食べたいなら早くそう言えばいいのに」
「・・・(落ち込みと具合の悪さで切り返せない)」
「何が食べたいんだ?」
「(そっちこそもっと早く聞いてよっ!)イチゴ・・・」

夫はパック入りのイチゴを買ってきてくれたが、
パックに詰ったままのイチゴを、丸ごとそのまま突き出した。

「洗ってないの?」と、苦しい息の下から問い詰めると、
黙ってパックを引き取り、次に現れたときは、
水道の水を上からかけて濡らしただけと思われるパックを
そのまま突き出した。

もとより食欲はまったく湧かないうえに、
夫の呆れるほどの無神経さにもショックを受けていたから
せっかく頼んだイチゴにも手がつけられなかった。

夫が勤めに出ている間、心配した職場の人から電話がかかってきたが
喉が腫れて声がまったく出なかった。
結局、ぜぇーぜぇと荒い呼吸音だけが相手に届き、
相手は会話をしなくても状況を悟ったようだ。

高熱が続いたためか、翌日には幻覚症状が現れ、
毛布にくるまれて病院へ運ばれ、2週間も職場を休んでしまった。

この状況で、なにが許せなかったか?

根は良い人なんだからと、どこかでまだ夫をかばっている
自分自身がなんとも許せなかった。

風邪が治ると、我が家はなにごともなかったように
また以前と同じ日々が戻ってきた。

それでも、変化したものがひとつだけあった。
新聞の読者投稿欄で夫婦の話題を熱心に集めるようになった。

たとえば、妻が風邪を引いたときはスープを作り、
やさしく看病する夫に妻が感激する投稿が掲載されている。
その部分を赤いマジックペンで囲んでデカデカと、

「うらやましい」
「この人のオクサンになりたい」

など、妻はあれこれの記事にこの10年間、
ありったけの思いを込めた注釈を書き添え続けた。

夫も負けずに黒マジックでもっとデッカク、

「まかせておけ」
「心配するな」

と、書き込んでいたけれど、最初の不信感が尾を引いていて、
まったく信用できなかった。

その後、風邪でまたダウンした。

ベッドでうなっていると、夫が会社から帰ってくるなり
階下の台所でドンガラピシャと物音をたて始めたので、
家を壊されるのではないかと、気が落ち着けなかった。

しばらくして、音が止み静かになったころ、
究極の粗忽者がお盆をうやうやしく両手にささげ持ち、
ドスドスとベッドのそばまでやってきた。

メニューは、おかゆに卵を落としたもの(米が生煮え)、
ジャガイモと玉ねぎの味噌汁(ダシのうまみが皆無)、
チーズと大粒のうめぼし2個(この取り合わせは謎)、
当世ギャルが剥いた風の、ブツ切りのリンゴにミルク。
リンゴのブツ切りは、皮がうまく剥けなかったのか、
身の部分がアットランダムに入り混じり、
おめでたい紅白のツートンカラーになったもの。

品数と量がやたらに多い献立である。

極めつけはミカンのデザート。
なんと、皮をむいて房をひとつずつバラして、お皿にバラ撒いてあった!

土日は、数時間ごとに取り換える下着類の山の洗濯物をこなしながら
食事の支度をし、掃除機をかけたりと甲斐甲斐しいばかりだ。

これで老後は安泰! と思っていたが、その後の骨折の際に、
夫に対する見積もりがひどく甘かったことを後悔する羽目になった。

看護と介護にはエラく差があると、しみじみ悟ったのです。

介護は次回に。

やや、甲斐甲斐しく生まれ変わった人の近況

新入社員の頃の話です

久しぶりに、『普段法螺など全く言いそうもない身近な人間が真剣に主張する、ありえない話』略して、『みぢかえない話』、です。
 新入社員の頃の話です。
 青ちゃんは大阪生まれの大阪育ち、で会社の同じ部門の同期です。仕事もよくできますが、大阪人らしく、とても愉快な男です。
 しかも、頭がいいです。
 僕が、青ちゃんは頭がいいなあ、と思った理由は、入社当時、僕ら新入社員全員が東京本社に集められて研修を受けておるときに『世間一般の関西人以外の人が抱いているステレオタイプの大阪人像を逆手にとる』ことで巧妙にみんなの笑いをとっていたのを見たからです。
 『世間一般の関西人以外の人が抱いているステレオタイプの大阪人像を逆手にとる』ということは具体的にどういうことかというと、これは実際に青ちゃんが、
 「こないだの休みにな、新宿行ってな・・・」
 と『実際にやったこと』として話してくれたんですけど、同期のこれまた大阪人とふたりで新宿の大きな有名百貨店に行き、
 「店員のお姉ちゃん相手に、値切りたおしたった。」
 んだそうです。
 よくよく聞くと、真剣に買う気はなかったようで、単に店員さんをからかって受けをとって喜んでいた、だけのようです。
 「しかもな、値切れません、ゆう相手に、とどめにな、『ほな、ええわ、あんたが、社員割引でこうたらなんぼになるんや、俺らはそれよりちょっと高めにあんたから買うがな。それでも定価より安いやろ?』て真剣にいうたってん。」
 「そしたらどうだった?」
 「いや、そらもう、姉ちゃん、口を抑えて爆笑やで。あはは。」
 青ちゃんが大阪の百貨店でも、そうですね、例えば梅田の阪急百貨店でもこれと同じことをしているのか、というとそんなことは、まずないわけです。
 これは、つまり『関西人は金銭感覚に鋭くて、どこでもなんでも値切る』というステレオタイプな印象を逆手にとってあえてそういう関西人を『演じた』わけです。
 なかなか頭がいいです。
 そんな、青ちゃんが、研修中にある日いつものように冗談を言いました。
 「俺な、大阪におる、連れにな、言うたってん。」
 「なにを?」
 「『東京っちゅうのはさすがやで』いうてな、『俺らの建物の最上階からな、あの建物が見えてな・・』」
 そんな会社はゴマンとあると思いますが、僕らの会社の東京本社も一応、通りとお堀を隔てて東京都千代田区のかしこき場所に面しています。僕らは入社してすぐに、そこで新人研修を受けてから、東京本社を含め、いろんなところに配属されるわけです(蛇足ながら、僕も研修後、そのかしこき場所に面している東京本社とは違う場所に配属になりました。)。
 「うん。」
 「それでな、『俺がたまたま最上階から、そこを見てたら、天皇が散歩してたんや。それで、俺が試しに手を振ってみたら、天皇が俺にな手を振り返してきたんや!東京はやっぱ、ちゃうやろ?』ってゆうたってん。」
 「がははは、そんなわけねえだろ!」
 「がはは、そうやねん、、そんなわけないわな!」
 かしこきところは広大で、実際にはどこにかしこきお方がいるのか、さえさすがに僕らの東京本社の最上階からも見えないし、だいたい、そんなに簡単にかしこきお方がうろうろされているのが一般人に見えちゃうんじゃ、これは治安上の、しかも国家的レベルでの問題である、というもんです。
 でも、冗談としてはなかなか秀逸です。
 僕らはひとしきり、笑いました。
 
 ところが、青ちゃんの話はそれで終わらなかったのです。
 「あはは、そうやろ?おかしいやろ?そんなん冗談に決まってるやんか。」
 「あはは、うん、そうだよな。」
 「ところがやな、その連れがやな、」
 と、青ちゃん、急に真剣な顔になり、
 「うん?」
 「そいつがやな、ごっつい興奮して『ほんまか!?天皇が手え振りよったんか!さすがに東京はちゃうなあ!』言うて、まじで信じてしもうたんや!」
 これは、ありえません!
 「がはは、青ちゃん、そこはうそだろ~~、うそつけ!」
 「ほんまやて、俺も、うわ!?こいつ俺の冗談信用して本気にしよった、どないしょ、っておもたんや。」
 「ぜってえ、うそ!そんなの信じる奴なんかいるわけないだろ。芸能人じゃあるまいし、天皇だぞ、天皇!」
 とみんなして、笑いながらも、法螺ふくんじゃねえよ、と否定しましたが、青ちゃんはまだ真剣に、主張します。
 「いやいや、ほんまやて、大阪の人間の中にはそういう奴が、たまああに、おるんや、て!そいつはほんまに信じよったんや!」
 
 これは、『生粋の関西人は東京のことを全然知らなくて、ある種憧憬を抱いているらしい』というステレオタイプなイメージを巧妙に利用した青ちゃんの法螺にきまってます。
 しかし、ステレオタイプの演じ方が行き過ぎたために、冗談転じて、『みぢかえない話』になってしまったわけです。
 
 でも、ほんとうに、かしこき方が、気軽にうろうろしていて、お堀の鯉に橋から餌なんか投げていたら、意外に誰も気付かないかもしれないですね。
 青ちゃんは、今では、要職にあり、バリバリと仕事をしておられます。今度機会があったら、『天皇に手を振ったら、手を振り替えしてきた話を信じた友人がいる』話の真相を白状させてみたいと思います。青ちゃんの今の肩書きが例え部長補佐であろうと、この話は、どう考えても法螺だと思うので。

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